恋を知らない人魚姫。


でも今は、“重ねる”というよりも、過去の……また違う自分を見ているような、そんな感じ。

もうひとつページをめくると、まだ見覚えのあるイラスト。

人間になった人魚姫を、王子様が抱き抱えていた。


そしてそのまま、王子様のもとで暮らすことになった人魚姫。
望んでいた幸せを、手にしたように見えるけど……、

人魚姫に向けられた王子様の愛情は、願っていたものとは少し違った。

願ったその感情を向けられていたのは、あの嵐の夜に助けてくれた女の子。

それは、紛れもなく自分なのだけど、声を失った彼女は、想いを伝えることも、歌うことも出来なくて。

真実は少し捻じ曲がって、王子様は隣国のお姫様と結婚することに。

王子様と結ばれなければ、泡となって消えてしまう。それが、人魚姫が人間になる時に、魔女と交わした契約だった。

どうしようも出来ない人魚姫の前に、現れたのは彼女の姉達。

『この短剣で王子を刺しなさい。そしたらあなたは、人魚に戻れる』

綺麗な長い髪と引き換えに、姉達は人魚姫を救う方法を、魔女に教えてもらっていた。