恋を知らない人魚姫。


いけない。大切なことを忘れてしまうところだった。

「授業が終わって、ちょっと先生の所に行きたいから、先に行っててくれる?」

「あ……決めたの?」

「うん」

愛海の問い掛けに、頷く。

“決めた”というのは他でもない、進路のこと。

「愛海のおかげで見付かったよ」


昨日、あれから少し経って。

愛海と一緒に教室を出ると、廊下には先生に貰った資料が散らばっていた。

落としたのはあたしだけど、封筒から中身までは出ていなかったはず。
誰が散らかしたかは、一目瞭然だけど、そんなことは……どうでも良くて。

「大学、行くことにしたの……?」

拾うのを手伝ってくれた愛海に、進路変更したことを、この時知られた。

「……うん。ずっと愛海の後ろを歩いてくのは、ダメだと思うから。あたしはあたしの道を探さなきゃ……って、思ってて」

何偉そうなことを言っているんだろうとか、一緒に専門行くって約束したのに嘘つきとか、そんな風に思われたんじゃないかと、言った後に怖くなった。

実際、愛海は黙り込んでしまって。

だけど、