「海憂、おはよーっ!」

一夜明けて。
通学路のいつもの場所には、大きく手を振る愛海の姿があった。

「おはよう」

微笑みながら返事して、隣に並ぶ。

これが日常だったはずなのに、一度離れてしまったせいか、何だかくすぐったい。

でも、隣にいるのが夢みたいで、嬉しくて。

ちょっとだけ浸ってしまったあたしを、現実へと引き戻したのは、その愛海。


「ちゃんと連絡取った?」

まるで宿題でも確認するような声に、ドキリとする。

早速その話題ですか……。

「あー……うん、とりあえずメール……してみた」

「それで!?」

学校へと向かう足を止め、あたしの方へ身を乗り出す愛海。

参ったなぁと思いながら、

「返事はまだ……」

あたしが言うと、

「えっ!?」

愛海は何処から出たの?ってくらいの声を出し、目を真ん丸にした。

やばい、勘違いさせてる。

気付いたあたしは、

「違うの。メールで送ったのは、放課後会いたいっていうことで……」

正直に内容を告げた。

でも、それは間違いだったかもしれない。