恋を知らない人魚姫。


謝るのは構わない。
あたしが悪いことは、嫌ってほど自覚しているし、何度だって頭を下げる。

でも、

「どうしてあなた達の前で、謝らなきゃいけないの?」

愛海の為を装いながら、彼女らの瞳の奥に潜んでいるのは、ただの好奇心。

やってられない……と、背中を向けようとした時、

「ちょっと待ちなよ!」

ぐん!と、強い力で腕が引っ張られ、ズサッと音を立てて、あたしは膝から床に倒れた。

「った……」

咄嗟についた手と、膝に鈍い痛みが走る。

そんなあたしの頭上から降ってきた声は、

「逃げんなよ」

悪びれる様子もない偉そうな声と、クスクスと笑う声。


「もうそのまま土下座しちゃえばいいんじゃない?」

誰かが言って、

「何なら手伝ってあげようか?」

「っ……!」

ぐっと頭を下に押さえつけられた。

「ほら、もっとちゃんと下げなきゃ」

声と一緒に強くなる力。

逆らいたくても敵わなくて、床に顔がついてしまいそうになる……瞬間だった。