恋を知らない人魚姫。




【進路希望調査表】

その紙を見つめに見つめて、1日が過ぎた。

好きなことは見つかった。
だけど、それをどう進路に生かせばいいのか分からない。

目立つのは好きじゃないから、歌手になりたいと思うわけでもないし……。

頬杖をついて、見つめていたプリント。
それを、ふわりと机の上に落とすみたいに手放した。

そして、一緒に落としたため息。

せっかく見つけられたと思ったのに、肝心な所がまだ見つけられない。

昨日の今日で、焦ることはないのかもしれないけど、進路だ受験だって、授業の度に言われるから、焦らずにもいられない。


それに、あたし自身が早く決めたいと思っていた。

早く自分の進路、目標を決めて、そのことに集中したいって。


……とにかく、ひとりで考えていたって、何も見つからない気がする。

あたしは椅子をガタンと引いて、立ち上がった。

担任の……というか先生はみんな、正直あまり好きじゃない。

でも、相談出来る相手は他にいないから。

話を聞いてくれるなら、誰でもいい。
それに、昨日貰ったパンフレット……やっぱり返したいし。

あたしは机の中から茶封筒を取り出して、放課後の教室を出た。