ビクッと肩が跳ね上がるくらい、びっくりした。不意打ちだった。

同じ学校に通っているのだから、出会す可能性はもちろんある。
でも、今ここでそうなるとは、思ってもみてなくて……。

それは、愛海も同じだったみたい。

淡い水色のノートをぎゅっと抱きしめて、目の前に立つ愛海は、とても気まずそうに俯いていた。


少し前のあたし達だったら、『海憂!どうしたの?』って、笑顔で話し掛けて来てくれて、『愛海こそ』って、あたしも嬉しそうに返事していたんだと思う。

それなのに今は、目を合わせることすら出来ない。

一緒に過ごして来た時間、築き上げてきた関係が、だんだんと巻き戻され、無くなっていくみたい。

そう考えたらチクンって、心が痛んだ。

だけど、

あたしは愛海の姿から目を逸らすと、無言のまま横を通り過ぎた。