「俺等の関係、どうする?」

まだ「いいよ」って、返事していない。

それなのに、投げかけられた質問は、昨日あたし自身が、うやむやにしてしまったこと。


ゆっくり顔を上げると、目を合わせた櫻井くんは、微笑んで。

何か企んでいるわけではない、ただただ優しいその表情が、あたしの胸をまた苦しくさせる。


自分をさらけ出せる相手が、この人しかいないから……なのかな。

離れたくないって、傍にいて欲しいって、心の底で思ってしまっている自分がいる。

前みたいに、思いっきり苛立つ態度をとってくれたら楽なのに。
勢いで、スッパリ切れる気がするのに。

そんな風に思ったりもするけど、彼の表情はきっと、あたしの返事を分かっているからこそで。


あたしは軽く目を閉じ、息を吐いた。

今更もう遅いけど、けじめはちゃんとつけなきゃならない。

愛海を傷付けるだけ傷付けておいて、このままズルズル甘えることなんて、許されない。

あたしが許さない。

……だから。


「さっき、最後に……って、言ったよね」