「っ……」
櫻井くんの発言に、言葉が詰まる。
夏場の屋上は暑すぎて、確かにみんなあまり近付こうとしない。
そんな、こんな場所に来る人なんて、限られていると言えば、限られていて。
可能性が一番高いのは、愛海。
あたしも正直、その通りだと思う。
でも、素直に認められない。
だって、愛海が来てくれたとか、
もしかして、あたしに会いに来てくれたのかもしれないとか……
そんな都合の良いこと、考えちゃダメでしょ?
「愛海の……クラスメートじゃないの」
本心を隠して呟いてみたのは、他に考えられる可能性。
……うん、有り得る。
愛海に告げ口するためとか、あるいはただの好奇心で、付け回された可能性だって、充分にある。
もし、そうだとしたら……更に嫌な噂が回るのかなって、自分で言っておきながら、気分が沈みかけた時だった。
「どっちでもいいじゃん。月城さん、結構良いこと言ってたよ」
そう言ってくれたのは櫻井くん。



