恋を知らない人魚姫。



「どの面下げて来てんだよ」

「せっかく愛が仲良くしてくれてたのに、裏切るとかサイテー」

いつもなら難なくかわせる、言葉のナイフ。
だけど今日はグサグサと、真っ正面から突き刺さる。

全てを知っているわけではなさそうだけど、彼女達の発言は間違ってはいない。

あたしが愛海を裏切ったのは、紛れもない事実。


「あいつの本性わかったでしょ?」

「もう関わらない方がいいよ」

あたしと切り離そうとする言葉に、黙って従い、歩く愛海。

その姿を見ながら、広がっていく距離を、もう縮められないと思った。

友達に話して、あたしを無視して、周りに好きなように言わせて。

これが……愛海の出した結論。
あたしに下された、罰。


キュッと握り拳を作って、あたしは自ら彼女達に背を向け、教室の中へと入った。

鋭い言葉に耐えきれなくなったわけじゃなく、


近付いてはいけないと、思ったから。