「宿題見せてー」

「さっきの先生のあれ、ちょーウケたよね」

「えー! お前マジ最悪!」


いろいろな私語が飛び交う、授業の合間の休憩時間。

みんな友達と話しているのに、あたしはひとり自分の席で本を読む。

これが、いつもの光景。



「あははっ……きゃっ」

ドンッ。

友達と笑いながら、教室に入って来たクラスメイト。
話に夢中になりすぎていたのか、あたしの机にぶつかった。

「ごめ……」

一瞬謝ろうとした彼女だけど、あたしと目が合うと、パッと視線を逸らし、そのまま通り過ぎた。


カタン……

少しズレてしまった机を黙って直して、また本を開く。

少し本から顔を上げてみれば、今さっきのクラスメイトとその友達が、こっちを見て話していた。

その視線は冷たく、あたしのことを良い様に話しているわけじゃないのは、一目で分かる。


だけど、これを“イジメ”と呼ぶのかは分からない。
だって、危害を加えられるわけじゃないし。だから、あたし自身も何とも思っていないし。


あたしはいつも一人。

クラスに友達なんていない。


それでも、あたしは平気だった。


だって……。