恋を知らない人魚姫。


愛海に全部バレて、気持ち悪いとまで言われて嫌われて、何が大丈夫なもんか。

「適当なこと言わないでよっ……」

慰めるには、ありきたりで。今のあたしの状況には、とても相応しくない言葉。

なのに……どうしてだろう。

あたしが適当だと言い放ったその言葉は、心のずっとずっと奥に落ちていく気がした。

そして、ポッカリと開いてしまった大きな穴を、ほんの少しだけ埋める。


大丈夫だなんて、櫻井くんがどういう意味で言ったかなんて、あたしが知るところではないけれど。

ひとつだけ……ひとつだけ、意味を持たせられるとしたら、

“ひとりじゃない”って、ことかもしれない。


あたしの体を包み込む温もり。
あたしに向けられる言葉。

それは、ひとりぼっちになってしまったという孤独感を、和らげてくれていて。


あたしがここへ戻ってきた理由、
櫻井くんに会いに来た理由。

それは、これだったのかもしれない。