恋を知らない人魚姫。


でも、そんな都合の良い展開が、やって来るはずなくて。

突き付けられたのは、リアルな現実。
一般的な感情。

完全に壊れてしまった、愛海との関係。

もう……元には戻らない。


切った傷口からドロドロと血液が流れ出すみたいに、止まらない涙。

痛い、痛い、痛い……。

こうなることを覚悟して言ったつもりだったのに、心の奥底にあった甘え。

こんな愚かなあたしのこと、『バカだな』って、あざ笑ってくれたら良かったのに、

いつの間にか近付いていた櫻井くんは、あたしの頭の上にポンッと手を乗せた。

そして、

「頑張ったじゃん」

慰めるような穏やかな口調で、そう言った。


だから、涙が一層溢れる。