「……付き合ってるのは事実。でも、好きとかそういうのじゃないの」
形では“付き合って”はいても、“恋人”ではないから。
あたしの発言は、何よりも真実。
だけど、
「好きとかじゃないって、どういうこと……？」
何も知らない愛海が、理解出来るはずもなくて。
当然のように、目を丸くさせる。
『愛海のことが好きだから』
ここまで来たら、もう言ってしまえばいいのに、
躊躇って……言えない。怖い。
「じゃあ、いつから？ いつから付き合ってるの？」
答えられないあたしに向けられた、別の質問。
はっきりとは覚えていないけど、
「夏休みより前……」
あたしは出来る限り、素直に答えた。
でもそれは、間違いだったかもしれない。
愛海の表情は色を失って、
「それって、あたしが告白する前からってこと……？」
言葉と一緒に、両手をストンと落とした。
