恋を知らない人魚姫。


信じてるなんて言わないで。
信じないで。

だってあたし……愛海を裏切ってる。

一度だけじゃない。
何度も、何度も、数えきれないほどに、裏切ってしまってる。

一体どこから間違えてしまったんだろう。

一線を越えてしまった、あの時か。
別れを押し切れなかった、あの時か。
彼と付き合うことを決めた、あの時か。

それとも……

愛海に恋をしてしまった時か。


やり直したい。何もかも。
今更もう遅いけど。


まだ随分重いお弁当箱。ゆっくりそれを片付けながら、放課後どんな顔をして会えばいいか、考えた。

きっと何でもない顔をして、笑って……またあたしは“嘘”を重ねる。

嫌だな……って思った、その時。


“ほうかご”


口パクでそう伝えてきた、櫻井くんのことを思い出した。