恋を知らない人魚姫。




「うん!やっぱり青空の下で食べるご飯は、美味しいねー」

語尾に浮かぶ、音符マークが見えそうな声。

青空の下……正確に言えば屋根の下ではあるけれど、黄色い玉子焼きを口に運びながら、愛海は幸せそうに笑う。

少しおかしかった様子は、あれからすっかり元に戻った。

いや、いつもより少しご機嫌かもしれない。

あたしの言葉ひとつで元気になってくれたのなら、それはとても嬉しいこと……の、はずなんだけど、


親友だよねと聞かれたあの時から、ずっとビクビクしてしまっている。

心の中がザワザワして……落ち着かなくて、気持ち悪い。

忘れられないのは、不安そうにあたしを見つめた、あの時の愛海の顔。

その目には、“疑い”の色が確かにあった。


疑う……何を?

あたしが愛海を、親友だと思っているかどうか?

そんなことを、どうして今更……?


考えた先に浮かび上がる、ひとつの心あたり。


でも、もしそうだとしたら、こうして一緒にご飯を食べる状況になんて、とてもじゃないけど、ならないはず。

それに、こうして普通に接してくれてるんだもん。
きっと、あたしの考えすぎだ。