恋を知らない人魚姫。




一限目は、体育館で始業式。

戻ってから、二、三、四限と続けられた課題テスト。

今日はもうこれで帰らせてくれれば良いのに、午後からはしっかりと通常通りの授業が組み込まれている。


休み時間を迎え、みんな仕方なさそうに広げるお弁当。

「どうだった?」

「全然ダメ」

「だよね、あたしもー」

クラスのあちこちで起こる、同じような会話。

その雰囲気を何だか少し懐かしく感じながら、あたしも鞄からお弁当の包みを取り出した。

そして目を向けたのは、教室の出入り口。

風通しが良いようにと、開けっ放しにされた扉の先には、まだその姿はない。

来るって言ってたし、変に動かない方がいいかな……。

そう思ったあたしは、図書室で借りていた文庫本を読みながら待つことにした。

だけど、5分が過ぎ、10分が過ぎようとしても現れない愛海。
机の上に置いたケータイにも、何の連絡もない。

さすがに疑問に思って、本を閉じる。

あまり行きたくはないけど、お弁当を持って教室を出ようとした……その瞬間だった。