「おはよっ!」
「おはよう」
とても明るい挨拶に返事するあたしは、ちゃんと笑えてる?
「何かもうホントあっという間だったよね、夏休み。で、いきなり課題テストとか、嫌すぎるんだけど」
「うん……」
「でも、海憂に教えてもらった成果出せるように頑張るから!」
両手を胸の前でグーにして、気合を見せる愛海は、数ヶ月前と何も変わらない。
それなのに、あたしの胸の中はモヤモヤして……息苦しい。
愛海の隣に立っていることが、辛い。
歩けば歩くほど、学校へ近づけば近づくほど、増えていくうちの生徒。
ある人を目で探しているのか、それとも見つけないようにしているのか、自分でも分からないけど、落ち着かなくて。
男子がすぐ近くを通り過ぎていく度、ビクッとする。
楽しそうに喋る愛海の話に適当に頷きながら、ここに現れないで……って、そればかりを考えていた。
それが、いけなかったのかもしれない。
だって彼は、あたしの心の中が読める人だから。



