絶対何か言われる……。
心の中でそう思った通り、
「月城さん塾入んの?」
「入らない」
櫻井くんは想定範囲内の質問をしてきて、あたしは一言で返す。
さっきまで前を歩いていたのは彼の方だったのに、立ち位置は逆に。
あたしが早足で前を歩いて、櫻井くんが追いかける。
「だよね。月城さん頭良いから、塾とか必要ないよな」
思っているのか、からかっているだけなのか、よく分からない発言。
うちの学校はテストや成績の順位が、他人に分かるようなシステムにはなっていない。
だから、あたしの頭がどうかなんて、同じクラスになったこともない櫻井くんが知っているはずもなくて。
もし、誰かから聞いたとすれば、それは……。
あの子の顔が、頭の中に浮かんだ瞬間だった。
「月城さんも、看護系の専門……なんだっけ?」
櫻井くんの問い掛けは、地雷。
どうしてこの人は、あたしの心を読んでいるかのように喋るのか。



