恋を知らない人魚姫。


「まさかっ!何であなたの妹なんかに」

“会いたい”までは思っていなかったけど、心の中を見透かされた気がして、パッと目を逸らす。

すると返って来たのは、「そっか」の短い返事。

櫻井くんの妹には何の罪もないのに、少しキツイ言い方をしてしまったかもしれない。

今のはさすがに悪かったかな……と、視線を戻すと、


櫻井くんは変わらず笑顔を浮かべて、あたしを見ていた。


な、に……?

思わず硬直する。

何でこの人、妹のことを悪く言われて笑ってるの?

「……妹さんのこと、嫌いなの?」

「は?何で?」

「や、だって……」

この先を言ってしまえば、自分の非を認めてしまうことになる。
櫻井くんが気にして、怒っているならまだしも、この様子だときっと気付いてない。

それに、妹さんのことを嫌っている様子でもない。

だったら、笑っていた理由は分からないけど、わざわざ言わなくてもいいような気がする。

口ごもるあたしを不思議そうな目で見ながら、櫻井くんはテレビの横に手を伸ばして、何かを取った。