恋を知らない人魚姫。




あたしがこの人としてしまったことは……

“友達”として、一番最低なこと。


愛海の顔を見れば見るほど、思い返して罪悪感に潰されそうになる。

だけど、だからと言って、愛海を避けることなんて出来るはずもなく……。

苦しくて苦しくて、どうしようもない気持ちを抱えながら、いつもここに来てしまっていた。


櫻井くんと会うことで、愛海との時間を消すことが出来るわけじゃないけど、ひとりでいると、頭の中が本当におかしくなってしまいそうで。

大嫌いなこの人でいいから、傍にいて欲しい。

でも、この人だからダメ。
結果もっと心が辛くなる。

でも……でも……。

“でも”が積み重なって、繰り返してる悪循環。


「ふーん……」

櫻井くんはあたしを抱きしめたまま、あまり納得していないような返事をして、

「じゃあもう誘って来てくれないんだ?」

耳元で、からかうみたいに言った。

冗談のつもりかもしれないけど、心の底から後悔している今、その発言はかなり痛い。

「……」

あたしは無言で、彼から顔を離す。