何かが渦巻くような、そんなはっきりとしない気持ちで迎えた放課後。

図書室のカウンターへ座ったあたしの隣には、愛海の姿。


「図書委員の仕事って良いよねー」

「そう?すごく暇だけど」

パソコンを立ち上げながら返事すると、「そこが良いの」と、愛海は笑う。


『昨日ひとりだったんでしょ? 先に帰ってごめんね……。今日は手伝うから』

昼休憩が終わって。屋上から教室へ戻る途中、そう言ってくれた愛海。

その言葉通り、今日はこうして一緒にいてくれている。

でも、

少しそわそわとして嬉しそうな様子が、ただ単にあたしを心配して付き合ってくれているだけではないことを、物語っていた。


……待っていても来ないよ。

心の中で呟く、意地悪なあたし。

本の貸出し期間は一週間。
昨日借りたばかりの人が、今日返しにくるとは思えない。


待っていても、今日あの人は……来ない。


そんな変な自信があって、愛海の様子に胸を痛めながらも、まだ落ち着いていられた。


……なのに。