恋を知らない人魚姫。


誰かのせいにして、誰かを責めていないと、この気持ちに押し潰されてしまいそうだった。

だから、こんな所まで会いに来た……のに。

「そんなに変……?」

声が擦れる。震える。


櫻井くんに会いに来たのは、間違いだ。

だって、彼が一番あたしの気持ちを面白がっているんだから。

もしかしたら、愛海のことが好きなだけかもしれないと思ったけど……どうやらそれは違ったみたいだし。

やっぱりこの人は、あたしをからかって、面白がっているだけ。

だから水族館で、愛海と近付けるようなことをして。
“良かったね”とか言いながら、心の底で馬鹿なあたしを笑ってたんだ。


櫻井くんの行動の理由。
納得すればするほど、胸の奥が苦しくなる。

あたしは本当に愚かで、馬鹿。

「ちょっとだけ……許してたのに」

あまりに優しくするから。
愛海と並ぶあたしを、微笑んで見たりするから。

あたしの気持ち、この人は理解してくれているような気がして……

心を許しかけていた。