恋を知らない人魚姫。


『月城さん今、外にいんでしょ』

「何で……」

『音。車の音みたいなの、聞こえたし』

あまりにもあっさりと見破られた状況。

愛海に電話を聞かれてはいけないと思ったあたしは、公園を出る一歩手前の所まで来ていて。
特別気にしていなかったけど、向かい側の道路を通り過ぎる車の音とか、入っていたかもしれない。

「でもっ……」

外にいるからといって、行けると決め付けられるのは困る。

あたしはどうしても断りたくて、反論しようとするけど、

『今、もしかして愛ちゃんと一緒だったりすんの?』

「っ……!」

櫻井くんの声が、言いたいことを言えなくさせる。

ここで“Yes”と答えたら、見逃してもらえるんだろうか。

……ううん、そんなわけない。

『月城さんが約束破るんならさ、悪いけど俺も破らせてもらうよ』

何のことかと、あたしが問うこともなかった。


『月城さんと付き合ってるって言ったら、愛ちゃんどんな顔するかな?』