「失恋って、思ったよりしんどいね。ほんと参っちゃう……」
涙で擦れる愛海の声に、ジンジンと痛む手と……胸の奥。
何か言わなきゃって思うのに、一向に浮かんでこない言葉。
何も言えず、ただ横顔を見つめるばかりのあたしに、
「でもね……後悔はしてないの。自分の気持ち伝えて、彼女がいるって直接聞けて、変かもしれないけど嬉しいと思ってるんだ」
愛海はにっこりと笑った。
彼女がいるって聞けて……嬉しい？
“どうして”と、あたしが問うよりも早く、
「だって、誰もたっくんに彼女がいるなんて知らないもん。みんなが知らないこと教えて貰えたのって……ちょっとだけ特別でしょ？」
心の声が聞こえたみたいに、疑問に答えてくれた。
「……って、こんなこと思うなんて、やっぱりおかしいよね」
あははと苦笑して、愛海は少し大きくブランコを揺らす。
おかしい……とか、そんなことない。
純粋に人を想って、前向きになれる愛海は、とても素敵だと思う。
それを伝えたいのに……声が出ない。
