「心配かけてごめんね。ありがとう」
愛海の言葉が、笑顔が、胸にチクッと刺さる。
あたしが心配して、ここまで走って来たのは事実だけど……それは“ありがとう”なんて言われるほど、綺麗な気持ちじゃなくて。
愛海を抱きしめた理由だって、本当は……。
何も知らず“友情”と信じて、無邪気に微笑みかける愛海。
あたしはハッキリ否定することも出来なくて、目を逸らしたまま首を横に振った。
いつの間にか、星が見えるほどに暗くなってしまった空。
公園内の小さな電灯に明りが灯って、夜の訪れを告げる。
愛海が再び座り直したブランコの隣に、あたしが腰かけると、
「あのね、海憂が帰ってすぐ……ここで告白したの」
足で小さくブランコを揺らしながら、愛海が口を開いた。
それは気になっていたこと。
聞きたかったこと。
愛海がフラれるなんて信じられなくて……何があったのか、何を言われたのか、知りたかった。
キィ、キィ……と、一定のリズムで鳴っていたブランコの音が途切れて。
あたしはこれから話される内容に身構えて、ブランコの鎖をギュッと握る。



