……頭が痛い。

こんなに憂鬱な朝は、初めてかもしれない。

照り付ける日の光が眩しくて、暑くて、あたしは睨み付けるように目を細めた。



『海憂チャンが、俺と付き合ってよ』

『……いいよ』


頭の中で何度も繰り返される、昨日の出来事。

色褪せた写真のように、不確かに思えるけれど……確かな現実。

あたし、何てことを言ってしまったんだろう……。

一晩明けて、冷静を取り戻して、やっと事の重大さを理解していた。


愛海に会いたくない……と言うより会いにくくて、深いため息をついてすぐ、

「海憂おはよー!」

明るい声と一緒に、大きく手を振る愛海の姿が目に入った。


「……おはよ」

近付いて、あたしはいつものように軽く笑ってみせるけど、

「どうしたの?」

「え?」

「元気なくない?何かあった?」

愛海は首を傾げて、あたしの顔を覗き込んだ。

その小さな指摘に、ドクンッと心臓が跳び跳ねる。


「何も……ないよ。ちょっと暑くて参ってただけ」

「え、それって熱中症とかじゃないの!? 大丈夫?」

真面目に心配してくれる愛海。

その無邪気さが、心に突き刺さる。