チッ、チッ、チッ……
枕元に置いた、目覚まし時計の秒針の音と、
ドクン、ドクン、ドクン……
あたしの鼓動の音が響く。
時を刻む秒針より少しあたしの方が早くて、嫌な感じ。
あたしはこの先を知りたくないし、この先に進みたくない。
なのに鼓動は早くて、普通の人より先に進んでいるような感覚になる。
自分の鼓動の音を意識したくなくて、ケータイを開いた。
映るのは青と青の待ち受け画面。
同じ名前の色なのに、全く違う色をしている空と海。
いつだかネットで見つけたそれは、とても綺麗で心が落ち着く気がする。
一体どこの景色なんだろう……と、やっと他のことを考えられた、次の瞬間だった。
パッと切り替わった画面。
ヴー、ヴー。
いきなり震え出したケータイに、あたしは思わず放り投げて、身を起こす。
……着信。
表示された名前は、“愛海”。
連絡が来ることは分かっていたはずなのに、頭の中が真っ白になった。
――動けない。
その間もコールは続く。



