「あたし達の関係、終わりにして」


彼を見据えて、はっきり口にした。

沢山の人で賑わう周囲。
聞こえなかった……なんて言われてしまったら、困るから。


「つき……」

驚いた顔をした彼が、何か言おうとする。けど、

「お待たせー!」

支払いを済ませた愛海が駆け寄って来て、

「おかえり」

あたしはわざと彼から目を離した。



あたしにはやっぱり愛海しかいなくて、頬を赤らめて彼に笑いかける愛海を見ているだけで、今でも胸が苦しくなる。

でも、ずっと愛海の恋の邪魔をし続けることなんて、出来るはずがなくて。


彼のことを“優しい”と言った愛海。

あたしには全くそんな風には思えなかったけど、今ならほんの少し……ほんのほんの少しだけなら、分かってあげられなくもないような気がする。

だから……だから。

愛海のことが好きで、他の誰にもとられたくなくて、始めた関係。

もう終わりにするって決めた。


あたしは愛海の幸せを願ってあげられる、
ちゃんとした“友達”になりたくて。

小さな水槽に閉じ込めていちゃ……いけない。