腕を引かれるままに入った売店。
そこは、一層多くの人で賑わっていて。
店内のレイアウトや並んだ商品は、この前来たときと何ひとつ変わっていない。
今まで……館内を歩いているときは何とも思わなかったのに、ここに来て急に襲ってきたのは、気まずいような気持ち。
変なの。
あの時のことを知ってる人なんかいないはずなのに。
この人の多さ。店員もいちいち覚えてたりなんかしないはず。
「見て、このマカロニ可愛い!お母さんへのお土産これにしよっ!」
魚や貝など、海の生き物の形をしたマカロニを手にとって、愛海が笑う。
「あと何買って帰ろう」
1箱それを買い物かごに入れて、再び足を進める愛海。
櫻井くんはと言うと、「3人で動いてると邪魔だろうから」と、あたし達から離れて行った。
だから、余計なことを愛海に吹き込む人は、ここにはいない。
愛海とふたり、楽しい買物の時間……な、はずなのに、どうしようもなくビクビクしてる。
沢山の人がひしめき合う中、目を向けた先には中学生くらいの女の子達。
「何見てるの?……あっ!」
愛海の声が聞こえて、振り向いたときにはもう遅かった。



