恋を知らない人魚姫。


また来るって、3人でだろうか。
それとも……。

櫻井くんがどんな状況を想像して、“また”と口にしたのかは分からない。

でも、

「じゃあ、お土産見に行こっ!」

あたしの腕を掴んで、再び館内へ戻ろうとする愛海。
その顔は照れているようで、頬は少し紅く染まっていて。

愛海が想像している“また”には、きっとあたしの姿はない。

そんなの……分かっているけど。

力の加減を忘れているのか、痛いくらいにギュッと握られた腕。

それがあたしの心までも、ぎゅっと苦しくさせる。


今、こんなに近くにいるのに……。

愛海の未来にこの腕は必要ない。