ふたりの会話に耳を傾けたまま、あたしはそっと窓の外を見る。 流れて行くのは、数週間前にも見た景色。 だけど抱えている気持ちは……あの時とは全く違う。 行き先も知らず強引に連れられて。 あの時はとても腹立たしくて不安だったけど、 今は比べ物にならないくらいに、更に不安で……。 こんな気持ちになる理由。 そして、あたしが櫻井くんの顔を見た途端、立ち去ることが出来なくなった理由。 それは……気付いてしまったからだと思う。