何を言ってもダメな気がして、それ以上に心苦しくて、返す言葉が見つからない。
どうしたらいいのか分からなくて、あたしも愛海から視線を外す……と、
「ごめん」
目の前から聞こえた小さな声。
「あたしがついて来てって言ったのに、海憂にこんなこと言うのっておかしいよね」
鏡越しに目を合わせた愛海は、困ったような笑顔を浮かべて「ごめんね」と、もう一度付け足した。
愛海が謝ってくれている。
なのに、あたしの心の中は一向に晴れない。
それどころか、さっきよりもすごく怖くて……すごく不安になってる。
自分の気持ちに自分自身が戸惑って、目を合わせたまま動けずにいると、
「あっ、良かった!空いてるよー」
「電車間に合いそうだね」
ちょうど同い年くらいの女の子二人組が入ってきて、あたしは道を譲るように一歩下がって避けた。



