照りつける強い日差し。

それから逃れるように、あたしと愛海は駅の構内で彼を待つ。


「はぁ~、緊張する」

胸元に手を当てて、ため息に近い息を漏らす愛海。

見慣れないそんな姿に、「大丈夫だよ」と笑って返すけど……本当はあたしも緊張してる。


ここは数週間前、櫻井くんと待ち合わせをしたのと同じ場所。

目線を少し外にやれば、あたしが待っていた場所がそこにある。

まさかこんなことになるなんて、あの時は思ってもみなかった。

色んなことが重なり過ぎて、考える余裕さえなかったけど、彼は一体何を考えて来るんだろう……。

自分だけでは答えを見つけられない疑問。

彼のことを考えていた、正にその時だった。


視界の中に入り込んで来た人の姿。

あたしが待っていたその場所で足を止め、キョロキョロと辺りを見渡す。

そして……

こっちを向いてピタリと止まった頭。

視線と視線が交わる――。