部屋の片隅にかけた制服。
毎日着ていたそれに、袖を通さずに過ごす日が一週間ほど過ぎた。
全身鏡に映る、今日の自分の姿は水色のワンピース。
「……」
よそ行きの格好。
だけど、いつもと何も変わっていないヘアスタイル。
たまには結んだりしてみようかな……。
長い髪を背中にやって、整えながら全てを持ち上げてみる。
すると目の前には、ほんの少し吊り目になったあたし。
どうかな……。
後ろ髪が映るように体を傾けて見ていると、
コンコン。
誰かがあたしの部屋のドアをノックした。
“誰か”と言っても、家の中にはお母さんしかいない。
「はーい」
あたしは何も考えず、体はそのまま声だけを返した。
だけど、
「海憂、入っていい?」
外から聞こえた声に、ピタッと時が止まる。
この声――。