だから櫻井くんの指摘は、どっちもハズレ。

……なのに、胸の奥が詰まったみたいに苦しくて、その指摘を否定することが出来なかったのは、

あたしの気持ち、見透かされてるみたいだったから。


もちろん、誰かに見つけてもらう為に歌っていたわけではない。

でも、そう感じたのはきっと……あたし自身のせい。


あの時、誰もいない教室で考えていたことは、愛海が離れて行った時のこと。

静かすぎる空間が、その想像をやけにリアルにして。
寂しくて、怖くて、壊してしまいたくて……気付いたら歌ってた。

そんなあたしの気持ちが反映して、“見つけて”って言ってるみたいに聞こえたんだと思う。


理解は出来る。

納得も出来る……けど、そうなればそうなるほど戸惑うのは、

気付いた相手が彼だから。


自然と落ちていた視線。
再び顔を上げて見ると、櫻井くんの姿は見えなくなる直前だった。