3年2組。
愛海と同じクラスか……。

やっと少し思うことを見付けながら、全生徒ぶんのバーコードがファイリングされたものを開く。

13番……あった。

いつものように機械的に、貸出人のバーコードを読み取ろうとした。

だけど、

「……」

あたしの手は、ピタッと止まる。


13番という、出席番号の隣。
そこに書かれた名前。

不意に目に入ったその名前は、櫻井 拓也。


3年2組、櫻井……?

ドクンドクンと、重く鳴る胸の鼓動。

深く思い出そうとしなくても、頭の中で自動再生される愛海の声。


『同じクラスの櫻井くんっていう人なんだけど……』


あたしはパッと顔を上げて、その人を見た。

いきなりぶつかる視線。

少し驚いた顔であたしを見るその人は、まるでファッション雑誌から抜き出たような顔。

愛海の言っていた通り、確かに“カッコイイ”。

だけど、

明らかに染めたであろう茶髪に、緩みきったネクタイ、ズボンから出したシャツ。

とても図書室に本を借りに来るようなイメージじゃない。

軽そうなこの人が……愛海の好きな人?