『あんまり天恭さんに依存してちゃダメよ』
話の途中、何の前触れもなく言われた言葉。
その一言だけが、あたしの心をかき乱して、苛立たせる。
依存しちゃダメだってそんなこと、言われなくても分かってる。
だけど、愛海のいない生活なんて考えられない。
愛海がいなくちゃ、あたしは自分の進路さえ決められない。
それなのに……そんな簡単に言わないで。
教室に戻ると、そこにはもう人の姿はひとつもなく、暗く染まり始めた夕日だけが差し込んでいた。
静かすぎる室内。
響くのは自分の足音だけで……何だか不思議。
いつもはあたしの存在なんて無視して、消してしまう場所なのに。
今は受け入れてくれてる……そんな気がして。
鞄がひとつ置いてある、自分の机。
そこを通り過ぎて……
あたしは教室の中心に立った。



