「緊張するけど、すっごい楽しみ」

夏休みの予定を思って、隣を歩く愛海がはにかむ。

そう。愛海とあたしと櫻井くんの3人で、水族館へと出掛ける日。

日にちとか待ち合わせ場所とか、必要なことはもう決まっている。
あたしが恐れている日は、着実に近付いて来ている。

それなのに、この状態。

会いも話もしていない今、彼の考えは理解出来なくなる一方で、どんな顔をして会えばいいか分からない……。


これから迎える夏休み。

それをこれほど憂鬱に思っているのは、きっとあたしぐらいだ。


「ねぇ海憂、学校終わったらアイス食べに行こ!」

すっかりご機嫌な愛海は、夏の日差しにも負けないくらいの笑顔で誘う。

でも、

「あ、ごめん……今日ダメなんだ」

「え?」

「放課後、ちょっと担任に呼ばれてて」

そこまで言うと、愛海は明るかった表情を一転させた。