せめて笑い飛ばしてくれれば良かった。
笑ってくれたら、からかわれてるだけって思えるのに。
何で、そんな真剣な顔で言うの……?
心の中で問いかけたその時、タイミングが良いのか悪いのか、昼休憩の終わりを告げる予鈴が鳴って。
「大丈夫?」
「っ……」
再度かけてくれた心配する声に、あたしは思いっきり顔を逸らした。
咄嗟にとってしまった行動。……とはいえ、これにはさすがに罪悪感。
恐る恐る顔を戻す……と、
「あんまり無理すんなよ」
櫻井くんはあたしの頭の上に、ポンと自分の手を乗せて、すぐに背を向けた。
そしてそのまま、真っ直ぐ教室へと戻っていく。
その後ろ姿を見ながら、あたしはどうすることも出来なくて……。
ゆっくりと目を向けるのは、手のひらに残された飴玉。
こんなの余計なお世話。
そう思うのに……胸の奥が熱い。
あたしのことを一番分かってくれるのは、いつだって愛海で、愛海しかいなかった。
それなのに、あたしの体調に気付いたのは……櫻井くん。
愛海にも気付いてもらえなかったこと、気付いてくれたのは櫻井くん。



