あたしがご飯を食べたとか、食べなかったとか、それは自分の勝手だ。
櫻井くんに、そこまでとやかく言われる筋合いはない。
すると再び降ってきた、ため息。
本当に関係ないじゃない!と、彼にイラッとしながらも、目を向けずにいた……のだけど、
次に感じたのは、手首を掴まれる感触。
慌てて目線を戻すと、あたしの手は自分の胸元より少し上まで持ち上げられていて……。
天井を向いた手のひら。
その上にころんと、櫻井くんは何かを乗せた。
「これ……」
それを見たあたしは、目を見開く。
何故ならそれは、3つの飴玉だった。
“いちごミルク”と商品名が書かれたものと、透明な袋に水色の小玉がひとつ入ったもの。それから四角い銀色の包みがひとつ。
「すげー顔色悪いから。何も食べないよりはマシでしょ」
手に飴玉を乗せられた、その行動だけで“くれる”ということは理解出来た。
それでも頭が真っ白になったのは、相手が櫻井くんだから。



