真後ろにある窓。
それは全開になっていて、入ってくるのは生暖かい風。

決して気持ち良い風ではないけれど、ちょうど頭を撫でて吹くそれは、あたしを慰めてくれているみたいで……泣きたくなった。

愛海が告白すること。
3人で水族館に行かなければならないこと。
愛海が体調に気付いてくれなかったこと。

……沢山のことがあたしの胸を締め付ける。


苦しくて苦しくて息も出来ないこの気持ちは、全部あの人のせい。

あの人さえいなければ、こんな気持ちになることなんてなかったのに。

出来ることなら今すぐ、あたしと愛海の前から姿を消して欲しい。


「月城さん」

だから消えてってば。……って、

え――?


突然降ってきた声に顔を上げる。

すると目の前にいたのは、今まさに消えてほしいと思っていた相手。

何で……。

思った次の瞬間には、体は教室へ戻ろうと動く……けど、

「――っ!!」

片腕を掴まれ、あたしの行動は止められた。