「じゃあまた日にちとか決まったら連絡する!」

あたしにそう返した愛海は、体調に気付く様子は微塵もなく……すごく嬉しそうに笑ってて。

その表情を見たら、“やっぱり心配させてやれば良かった”って、黒い気持ちが込み上げた。

でもそれよりも、体調の悪さの方が僅かに勝ってる。

「分かった」

とにかく早くこの場を離れたくて、あたしが返事すると……、

愛海は軽くウインクをして、声に出さずに『ありがと』と、口を動かした。



……モヤモヤする。
心も体も、全部。

あのまま教室を出たあたしは、隣の教室へと戻ろうとしたけど、あまりの体調の悪さに途中で足を止めた。

脳裏には“保健室”という場所の名前が浮かぶ。
だけどそれは一歩近寄り難い場所で、何だか気が引ける。

とりあえず、今すぐには戻りたくない。

思ったあたしは、教室とは反対側の壁に背中を預けた。