「え、今日一緒に帰れないの?」

あの雨の日から数日後の、放課後。

教室を出てすぐの廊下で、愛海はきょとんとした顔をする。

「うん。今日から図書委員の当番で……」

3学年でクラスごと、一週間ずつ回ってくる、図書室の貸し出し当番。

今日からうちのクラスが当番で、図書委員のあたしは一時間ほど残っていないといけない。

「そっか……。あ、あたしも付き合おうか?」

その提案は、飛び上がりたくなるほど嬉しい。だけど、

「ううん。もうひとり委員の子がいるから……大丈夫」

「……」

ニコッと笑う私に対して、愛海は心配そうな表情を浮かべる。

何を考えているかは、聞かなくても分かる。

その“もうひとりの委員の子”と、あたしが上手くやれるのか……それを心配してくれている。

でも、

「……うん、分かった」

心配を口には出さず、愛海はゆっくり微笑んで頷いた。

「じゃあ、また明日ね」

「うん」

「バイバイ」と明るく手を振って、自分の教室へ戻ろうと離れてく愛海。