満面の笑顔で提案された場所。
そこは、映画館やカラオケのように、身近に何店舗もある場所じゃない。

つまり――。

「行くっ!行きたいっ!!」

飛び跳ねるような声で言ったのは、愛海。

「水族館大好きだから嬉しい!」

目の前の愛海は、本当に小さくピョンと跳ぶ。

……え、待ってよ。
何でまた水族館?

……っていうか、何か気持ち悪いかも。

突如襲ってきた、胃の中がムッとする感覚。

自分の体調に意識を向ければ、ふらふらするような気もする。


「あのっ」

自分から喋るつもりはなかったけど、思い切って声を出した。

「そろそろ教室戻るね」

櫻井くんとは顔を合わせたくなくて、振り返った愛海だけを見て話す。

体調が少しおかしいこと……それを口に出さないのは、愛海に余計な心配をかけたくなかったから。

だけど、