だいたい予想は出来ていた。
だから嫌だった。

それなのに今ここに立っているあたしは、愛海に対して本当に弱いと思う。


「分かった、いいよ。何か楽しそうだし」

「ホントっ!?」

顔を見なくても笑顔だと分かる櫻井くんの声と、弾むような愛海の声。

その会話に視線を戻すと案の定、彼は愛海に笑顔を向けていた。

「どこ行くとか決まってんの?」

「えーと、それがまだ……ね」

振り返って、あたしと目を合わせる愛海。

「えっ?あっ、うん」

まさか話を振られるとは思っていなくて、慌てて返事する……と、


櫻井くんはあたしの顔を見て、フッと笑った。


っ……!

瞬間的に感じた、嫌な予感。
それはすぐに現実のものとなる。


「じゃあさ、水族館とかどう?」