「海憂ー、やっぱり脈ないのかも」

お昼休憩。
少し遅れると言って現れた愛海は、屋上の扉を開けるなりそう言った。

「脈がないって……?」

ドキッとする発言。

顔を上げて姿を確認すると、愛海はトボトボと肩を落として歩いてきて、あたしの横にストンと座った。そして、

「たっくんにね、昨日のこと謝ったんだけど……“別に気にしてないよ”のひと言なんだよね」

はぁ……と、大きなため息に浮かない顔。

「気にしてないなら良かったんじゃないの?」

「全然。だって昨日のあたし、たっくんのことが好きってバレバレだったでしょ?」

「う、ん……」

あたしと櫻井くんが一緒にいるのを見て、飛び出した愛海。
バレバレかは分からないけど、普通に考えると彼のことが好きって、そういう意味にとれる。

「なのにさ、“気にしてない”って言われちゃったんだもん。つまりはあたしのこと、何とも思ってないってことじゃない?」