でも、捜してどうするの?

名前を見付けて、どうするの……?


急に冷静になる、あたしの頭。

傘を差していたはずなのに、いつ濡れてしまったんだろうか……。

紙やカーペットの上には、ポタポタと雫の跡があって。

今また、一滴落ちた。



愛海が恋をした。

それは愛海の自由で……女の子として、当たり前なこと。

あたしがどんなに嫌だと思っても、どうすることも出来ない。

そもそも、嫌だと思うことがおかしい。


だって、あたしも女の子だし、

友達なんだから――。


言い聞かせるように、自分の気持ちを押さえ込むように、震える手で落とした紙を拾っていく。

決して一度も一枚も、中を確認しなかった。


愛海の恋に、あたしは触れちゃいけないから。