「愛海と一緒にいる所に呼び出したりもしないって、約束してくれる?」

あたしはあたしのために、彼の条件を飲まなければならない。

『もちろん』

信用ならない軽い返事。
それでも、

「……分かった」

あたしは彼を信じて、約束を取りつけるしかなかった。

大丈夫。
呼び出しに絶対応じなければならないのは、一度だけ。
一度だけなら何とでもなる。

自分にそう言い聞かせて、心の中を落ち着かせようとしていると、

『ふっ……』

小さく笑うような声が聞こえて。

『てゆーかさ、俺達付き合ってんのに、こんな約束するとか変だよね』

と、櫻井くんは少し皮肉っぽく言った。


いつものあたしなら、その言葉に対して不快感を抱いてる。

だけど今日はそれどころか――。


「あたし達、付き合ってるんだよね……?」

彼の発言を確かめていた。