「うん」
更に嘘を重ねてしまうあたしは、一体どこまで汚いんだろう……。
そうとも知らず、やっと表情を柔らげる愛海。
「何も聞いてないのに勝手に誤解しちゃってごめんね」
苦笑しながら謝られて、どうしようもない後ろめたさに襲われたあたしは、首を横に振りながら手を離した。
掴んでいたこの手みたいに、愛海を簡単に離してあげられたら、愛海はもっと幸せに笑えるんだろうか。
そうかもしれない。
きっとそう……。
でも、愛海があたしを信じてくれればくれるほど、痛む胸の奥とは裏腹に離してあげられなくなる。
だって、あたしのことをこんなに想ってくれるのは、世界中どこを探しても愛海しかいない。
だから、ずっと傍にいて欲しい。
他の誰にも奪われたくない。
罪悪感の裏側で大きくなってしまう、あたしの勝手な気持ち。
真っ直ぐ向けられた愛海の純粋な目が苦しくて、そっと目を逸らそうとした……その時だった。
「もうひとつ聞いてもいい?」
耳に届いたのは、遠慮がちな声。



