殺すなんて物騒なことを言ったのに、どこをどうやったら『面白い』と、なるのだろう。
あたしは笑う彼の姿に、眉間にしわを寄せ、「もういい?」と、問いかけた。
すると、以外にもあっさりと、「ああ……うん」と、櫻井くんは頷いて。
「それじゃ」
さっき一度手をかけたドアノブに、再び手をかける。
キィ……と、錆びた音が響いて、校舎の中が見えた……その瞬間。
「じゃあ俺は、そんな可哀想な人魚姫を助けるよ」
あたしの後ろ姿に向かって、櫻井くんが声をかけてきた。
思わず振り返ってみると、彼は微笑を浮かべてて。
屋上から校舎内へ戻ろうとするあたしに、
「月城さん、また放課後ね」
彼はにっこりと、笑って言った。



